在宅学習でも、一定の条件を満たせば学校を「出席扱い」にできる公的な制度があります。
しかし、この制度の認知度はまだ低く、約6割の子どもが制度を知りません。学校から説明を受けている家庭もわずか1割程度というのが実情です。

知っていれば選べたかもしれない選択肢が、情報が届かないために埋もれてしまっているのです。
この記事では、文部科学省の公式な通知や現場の実態をもとに、保護者の皆さんが学校に相談する前に知っておくべき「現場のリアルな事例」と、具体的にどう話を進めればよいかの「実践ステップ」を整理します。
制度の全体像と現場の実情を正しく理解し、お子さんにとっての最善の選択肢を一緒に考えていきましょう。
- 学校によって対応が違う!知っておくべき「現場のリアル」
- 教材選びより大切。「相談前に整理すべき準備」とは?
- 迷わず動ける。学校への具体的な「相談の進め方」
第1部:知っておきたい現場のリアル。「3つの事例パターン」
「制度があるなら使いたい」と思うのは自然なことですが、現実には学校によって対応が大きく異なります。
現在、GIGAスクール構想により多くの学校で端末と教材が導入されていますが、不登校対応への活用状況はまちまちです。相談前に、現場でよくある「3つのパターン」を知っておきましょう。
パターンA:学校指定の教材でスムーズに進むケース(主流)
現在、最も多いのがこのパターンです。学校側から「配布済みのタブレットに入っているドリル教材(eライブラリ、ミライシードなど)を使ってみませんか?」と提案があり、それを受け入れる流れです。
学校側にとっては費用負担がなく、学習履歴の管理も慣れているため抵抗感が少なく、最もスムーズに認定まで進みやすいケースです。
パターンB:民間教材などを希望して交渉が必要になるケース
「学校の教材だと、学校を思い出して辛い」「もっと手厚いサポートがある教材が良い」といった理由で、保護者が特定の民間教材(すらら等)での出席扱いを希望するケースです。
この場合、学校側から「費用負担や公平性の観点で検討が必要」「前例がない」と慎重な姿勢を見せられることがあります。粘り強い交渉や、まずは学校教材で実績を作ってから切り替えるなどの段階的なアプローチが必要になることが多いです。
パターンC:学校の理解が得られず難航するケース
残念ながら、管理職(校長・教頭)が制度に否定的で、「登校しないと出席とは認められない」といった独自の判断で断られるケースもまだ存在します。
この場合、話し合いが平行線になりがちで、教育委員会への相談や、教育支援センター(適応指導教室)など別の支援策への切り替えを検討する必要が出てきます。
ここをチェック!
タブレット学習ライフ編集部目指すはスムーズな「パターンA」ですが、お子さんの状況によっては「パターンB」の道を探ることもあります。重要なのは、「学校によって対応が違う」という現実を知った上で、柔軟に構えておくことです。
第2部:相談前に整理する「たった1つの準備」
上記のリアルを踏まえると、相談前にいきなり「この民間教材を使いたいです!」と資料を持っていくのは、必ずしも得策ではありません。
最も大切な準備は、教材選びではなく、「子どもの現状と親の希望」を整理し、言語化しておくことです。これが交渉の最大の武器になります。
整理すべき「理由」と「希望」
学校側が(建前上でも)最も重視するのは「その子にとって適切な学習か」です。以下の点を整理し、自分の言葉で伝えられるようにしておきましょう。

- 現状の課題:なぜ今は学校に行けないのか、どんなことに困っているか。
- 学校教材への適性:(もし試したことがあれば)学校のドリル教材はできそうか、難しいか(難易度、心理的な抵抗感など)。
- 今後の希望:どのような環境やペースなら学習に取り組めそうか。
この「理由」が整理できていれば、もし学校から提案された方法がお子さんに合わない場合でも、「うちの子は〇〇という理由でその方法は難しいので、別の方法を相談したい」と、建設的に対話ができます。
(補足)「次の選択肢」としての民間教材
もし、「学校の教材は合わない可能性が高い」と感じる場合は、次の選択肢の候補として、要件を満たしている民間教材の情報を持っておくと安心です。
いきなり提示するのではなく、「もし学校の方法が難しかった場合の相談材料」として準備しておきましょう。
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タブレット学習ライフ編集部文科省の要件(計画的な学習、教科書対応など)を満たし、出席扱い制度への対応実績が豊富な教材を紹介します。候補として検討する際の参考にしてください。
すらら

無学年方式でさかのぼり学習ができ、不登校生へのサポート体制が手厚いのが特徴。出席扱い認定のサポート実績も多く、すららネットによれば、出席扱い制度の利用を希望した家庭のうち約8割が認定されています。
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出席扱い認定人数1700人以上

デキタス

ユニークなキャラが登場する2~5分の映像授業と、〇×や選択形式中心のクイズのような問題で取り組みやすい点が特徴。すらら同様に学習履歴(ログ)もしっかり記録できるため、出席扱いの申請時に学習の証拠として提出しやすい教材です。
\基礎・基本をしっかり身につける/

第3部:具体的にどう動く? 学校との相談「実践ステップ」
準備が整ったら、いよいよ実際に学校と話を進めていきます。保護者が主体となって動くための具体的な手順を、3つのステップにまとめました。
まずは担任の先生に連絡し、「文科省の出席扱い制度を使って、自宅学習を出席扱いにできるか相談したいです」と伝え、面談のアポイントを取りましょう。
面談では、一方的に要望を伝えるのではなく、まず「学校としてはどのような方法(導入済み教材など)が可能か」を聞く姿勢で臨みましょう。学校側の提案が受け入れられそうなら、それで進めるのが最もスムーズです。
もし学校の提案が難しい場合は、第2部で整理した「理由」を伝え、「こちらの希望を叶えるために、この教材(民間教材など)を候補として検討していただけないか」と相談します。
ここをチェック!
タブレット学習ライフ編集部話し合った日時・相手・決まったことは、必ずメモに残しておきましょう。また、今後増えていく記録が散逸しないよう、今のうちに「出席関係の書類は全てこのファイル(またはノート)に入れる」と決めて一箇所にまとめておくと、のちの手続きがスムーズです。

第1部の「パターンC」のように難航する可能性も見据えて、「どこまで学校と交渉を続けるか」の線引きを決めておきます。
例として「○回面談しても前に進まなければ教育委員会や教育支援センターにも相談する」「子どもの体調が悪化したら、出席扱いよりもまず別の支援を優先する」といったラインを保護者側で決めておくと、消耗しすぎずに済みます。
知っておきたい制度の「基本」と「よくある誤解」
最後に改めて、制度の根幹となる仕組みと、保護者が陥りがちな「誤解」について整理します。ここを正しく理解しておくことで、学校との話し合いの前提が揃います。
制度の基本構造:決定権は「校長先生」にある
この制度の土台は文部科学省の通知ですが、現場での最終的な決定権は校長先生に委ねられています。
校長先生は、単に学習記録だけでなく、「その学習がお子さんにとって適切か」「学校と家庭の連携は取れているか」などを総合的に判断して決裁します。そのため、法律のような一律の基準ではなく、学校の状況や校長先生の考え方によって、運用に差が出るのが現実です。
保護者が陥りがちな「よくある誤解」
保護者と学校の間で、制度に対する認識のズレがトラブルのもとになることがあります。特に多い誤解をリストアップしました。
- 「ネットで勉強すれば自動的に出席になる」わけではない
→ 一定の要件を満たし、事前に学校と協議して認められる必要があります。自己判断での学習は対象外です。 - 「出席扱いになれば成績(内申点)もつく」とは限らない
→ この制度で保障されるのは「出席日数」のみです。ただし、交渉次第で学習の成果を成績評価に反映してもらえる可能性はゼロではありません。 - 「学校は制度を隠している・使わせたくない」という悪意は稀
→ 多くは「前例がなくて先生もよく知らない」「日々の業務で手一杯」というのが実情です。
大切なスタンス:「要求」ではなく「相談と協力」
上記の誤解にあるように、現場の先生方は、前例のない対応への不安や実務負担を抱えています。
こうした事情を踏まえ、学校を一方的に責めたり、権利を主張して「要求」したりする姿勢は逆効果になりがちです。
「先生方の負担を減らすために、家庭でできる準備はします。どう運用するのが良いか、一緒に考えていただけませんか?」という「相談と協力」のスタンスで臨むことが、結果的にスムーズな連携への近道になります。
まとめ
ここまで見てきたように、出席扱い制度は「知っているかどうか」で結果が大きく変わる仕組みですが、決して「必ず使える魔法の杖」でも「使わなければいけない義務」でもありません。
この記事でお伝えしたかったゴールは、皆さんが「制度を知らなかったから選べなかった」という状態から、「制度と条件を正しく理解したうえで、我が子にとって使うか・使わないかを主体的に選べる」状態へと変わることです。
もし、第2部の「準備」を整えてチャレンジしたいと感じたなら、この記事の内容を学校との対話の出発点として活用してください。
そして、もし条件が合わなかったとしても、それは失敗ではありません。お子さんの状態に合わせて、教育支援センターやフリースクールなど、別の支援策を選ぶことも、とても大切な選択です。
焦らず、お子さんのペースに合わせて、一番良い道を探していきましょう。


